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  • 執筆者の写真koyama

「パワーハラスメント防止対策」法制化の背景

更新日:2020年4月10日

先月のコラムに続き、今回は2020年4月に対応が必要となってくるトピック「パワーハラスメント防止対策」の法制化について取り上げようと思います。


厚生労働省「平成30年度個別労働紛争解決制度施行状況」より抜粋した「民事上の個別労働紛争の相談内容の件数の推移」の資料が以下です。平成24年度より相談内容別の相談件数は「いじめ・嫌がらせ」に関する相談がトップで、しかもその件数は増え続けています。


    (出典:厚生労働省「平成 30 年度個別労働紛争解決制度施行状況」)


「いじめ・嫌がらせ」、「パワーハラスメント」問題が社会問題として顕在化した背景には、企業間競争の激化による従業員への圧力の高まり、職場内のコミュニケーションの希薄化や問題解決機能の低下、上司のマネジメントスキルの低下、上司の価値観と部下の価値観の相違の拡大など、多様な要因があるとされています。


こういった中、昨年パワーハラスメント防止対策の法制化が進み、ハラスメント対策の強化を盛り込んだ「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律等の一部を改正する法律案」が令和元年5月29日に成立、同年6月5日に公布され、労働施策総合推進法、男女雇用機会均等法及び育児・介護休業法における職場のハラスメントに関する部分が改正されました。


 (出典:厚生労働省「職場のパワーハラスメントに関する実態調査平成28年度」)


すでに対策を講じている企業は多く存在しますが、中小企業の対応が遅れていることが課題となっています。


対策を行わなければ、職場環境が悪化し従業員が定着せず優秀な人材が外部に流出してしまう、新たな人材を獲得したくてもできないという状況に陥ります。職場環境が悪ければ業務の質や進捗が落ち込み、業績にも悪影響を及ぼすことになります。また、仮にパワーハラスメントに企業として加担しなくとも、管理職のハラスメントは会社としての使用者責任を問われることがあり、企業のイメージダウンにつながりかねません。


厚生労働省の資料には興味深い調査結果が取り上げられていました。以下のグラフは「パワーハラスメントの予防・解決の取組を進めた結果、予防・解決以外に得られた効果」を示しています。


 (出典:厚生労働省「職場のパワーハラスメントに関する実態調査平成28年度」)


職場のパワーハラスメントをなくすための取組は難しいと考える企業が少なくありませんが、その一方で、きちんと対策に取り組み、成果を上げている企業もあります。取り組み始めたきっかけは企業によって様々ですが、取組を進める中で、パワーハラスメントの予防・解決以外にも、企業の発展、職場の士気や生産性、企業イメージ、コンプライアンスなど、様々な点で対策の効果を認識するに至っているとのことです。このことも踏まえて前向きに対策に取り組んでみてはいかがでしょうか。

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